11月に香港で開催されるアジア太平洋の視覚障害者の祭典(?)、WBUAP中期総会の詳しい内容が固まってきましたので、ちょっとご紹介します。
初日の11月21日は、午後に、女性フォーラムと青年フォーラムがあります。
青年フォーラムでは、以前ご紹介したように、若年層からの企画を募り、発表・選考・表彰という企画があります。
基調講演は、「国境無き点字」でチベットの視覚障害児教育支援等を行っているザブリエ・ティンバーケンさんが登壇。
女性フォーラムはでは、長年WBUの事務局長を務めてきたスペインのペドロ・ズリー
タさんが基調講演。
ペドロさんは、お話が本当に上手で、会場を完全に掌握します。
自身の名字、ズリータをもじって、「ズリータライゼーション」なんて造語してみたり。
二日目、22日は、まず開会式です。
特別ゲストは、香港特別行政府ナンバーツーと言われるキャリー・ラムさん。
挨拶は、私と、WBU会長アーントさんと、香港のチャンヤウさん。
基調講演は、国連ESCAPのナンダさんが、インクルーシブな社会を目指す際のESCAPの役割に就いて。
ザブリエさんも講演をするようです。
開会式の後は、総会審議部分です。
総会部分は、翌日含め、私とアイバンさんで議長をします。
上手く纏まると良いのですが・・・
会長からの活動報告、会計からの会計報告、委員会報告など。
午後には、各国からのカントリーレポートもあります。
午後の後半は、権利条約のワークショップです。
司会は、APの権利条約コーディネーターも務めるマーティーンさん。
WBUのアドボカシー・コーディネーターのビクターさんが、権利条約の特徴をを講演します。
モンティアンさんも、勿論、講演します。
3日目、23日の午前中は、総会審議事項の続きから。
主に定款改定が内容です。
これは大変です。笑
午前中の後半は、本を読む権利のキャンペーンに関するシンポジウムです。
前会長のマリアンさんが、マラケシュ条約に関する基調講演。
デイジーコンソーシアムのスティーブンさんも、キャンペーンでのデイジーとWBUとの連携に就いて話します。
午後はは分科会です。
1つは、社会的起業と雇用
司会はAP雇用委員会委員長のアンドリューさん。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク創設者のアンドレアス・ハイネックさんの基調講演と、香港の社会的起業フォーラム委員長カ・クイ・ツェさんの社会的起業を支援するファシリテーターに関する講演、更にコミュニティビジネスという団体のCEO、ラーン・ガイさんが、障害を競争の強みにしようという講演。
もう1つは、ファンドレイジング
司会は、諸般の事情で、田畑が担当します。苦笑
ビジョン・オーストラリアのファンドレイジングの責任者、ジャンさん(女性です)が、開発NGOのオックスファム香港のファンドレイジング責任者、カニー・シューさんはが講演します。
4日目、24日は、eアクセシビリティのシンポジウムから始まります。
Web Accessibility Initiativeのジュディ・ブリュワーさんAPのICT委員会委員長のニールさんが講演。
午前中の後半は、ICTの分科会です。
1)生活の中のEアクセス
2)情報アクセス
3)最新の支援機器から
午後は、閉会セレモニーと、香港ステートメントの採択になります。
この取り纏めも、私の仕事です。
とても盛りだくさんだと思います。
ご興味のある方、是非ご連絡下さい。
皆さんの今後の活躍を祈念しております。
写真は、送別会での視覚障害チーム。
話題は、もっぱら、「婚活」でした。笑
皆さん、年頃だからねぇ・・・
って、この「年頃」を説明するのがちょっと大変でした。
「田畑さんは、アジア太平洋の会長でしょう?
アジア太平洋の優しい男性を紹介して!!」
もちろん、半分冗談ですが。
でも、若年層のネットワーク作り、視覚障害分野に突きつけられた課題です。
ダスキン研修生では、肢体の皆さんが何度か、同窓生のフォローアップのようなことをしていると聞いています。
日本の肢体のコミュニティが熱心だから実現しているということです。
視覚障害分野でも出来ないものでしょうか?
APの青年フォーラムでは、今まで2回くらい、メーリングリスト作りの提案がありました。
確か、枠組みくらい作った人がいたと思います。
でも、持続しません。
直接会わないと、何か具体的な活動が無いと難しいというのもあるでしょう。
また、少し上の年齢の人が、モデレーターのような形で参加していないと、難しい面があるという話も聞きました。
ダスキン始め、折角、希望に燃える視覚障害リーダーを育てるのですから、その次のステップ、モチベーション維持の施策、必須だと思います。
WBU前会長のマリアンさんや、WBUAP会計のケビンさんを送り出しているオーストラリアが、WBUが頑張って産み出した著作権に関する条約、マラケシュ条約に署名したというニュースが来ました!
オーストラリアの視覚障害者は35万人とも言われていますが、先進国のオーストラリアでも、点字や拡大文字や録音図書になっている書籍は5%に過ぎません。
条約が実現すれば、認定を受けた団体が個人と直接、こうしたアクセシブルな形式の本の提供に踏み切ることができ、また国をまたいでアクセシブルな本の共有化が進みます。
マリアンさんも、オーストラリアが早々に批准をして歴史の立役者になれる筈だ、とコメントを出しています。
以下、マリアンさんの談話です。
「世界知的所有権機関(WIPO)でのWBU代表団を5年間に亘って率いてきた視覚障害者の私ですから、条約の意義はよく理解しているつもりです。
条約が成立して1年ほどになりますが、本日、オーストラリアが条約に署名し、視覚障害者にとってもインクルーシブな社会に向けて大きな一歩を歩みだしたと言えるでしょう。
情報へのアクセスは人権であり、情報を利用して意思決定や物事を選んだしするのです。
でも、視覚障害者のアクセスできる情報が極端に少ないので、情報が自由に取れる人たちと比べるととても不利な立場にあります。
条約批准で、納税者に負担は増えません。
でも、多くのオーストラリア人の利益に繋がるのです。」
マラケシュ条約は、WIPOの下での条約でありながら、著作権保持者より社会全体の利益を念頭に置いた条約という意味で、かなり珍しいようです。
この条約も、権利条約と同様に、20カ国が批准してから3ヶ月で発効します。
日本は、何時頃の批准になるのでしょう?
日本語の出来る視覚障害者とか、もっと日本語の本が読めるようになるでしょう。
かく言う私も、もっと英語や他の言語の本が読みやすくなるのを楽しみにしています。
難民を助ける会の35周年記念イベントが21日にありました。
案内されるままに、最前列に座っていたので、もう、本当に、僭越ながら、の4時間。
だって、右隣は会長で、そのまた隣が理事長ですから・・・
理事長の長さんは、TBSラジオの荻上さんの番組に出られることが割とあるので、以前感じていた疑問、「難民キャンプでのバリアフリーは、確かに問題ではあるが、その前に、障害のある人が何処に行けば救援が受けられるかという情報に辿り着く難しさを解消する必要があるのでは?」ということを話したところ、次回は持って行ってくれるとのお話でした。
途中から、左隣に、やはり理事でマラソンランナーの、谷川真理さんがやってきました。
午前中、皇居を3周走ってから来たそうです!
谷川さんの大会に、助ける会の職員の伴走で出た話とあわせ、「今度、途上国の障害者支援の企画の一環として、走って下さいませんか?」と、かなりドサクサに紛れてねじ込んでみたところ、「えぇ是非、早めに教えて下されば」と、まんざらではない反応!!
これはもう、事務局長さんに早く企画を持ち込むしかないですね♪
総会の活動報告に、「田畑美智子理事をお招きし、定期的な勉強会を開催頂き、職員の知識向上を図っています」と、いつの間にか私の勉強会が正式な活動に格上げされていました。汗
まあ、格上げ頂いたのだから、今後もしっかり運営し、話し合った内容を活動に活かしていただけるようにしたいし、していただきたいです。
会員で視覚障害の方もおいでで、わざわざ声を掛けて頂きました。
また1つネットワークが広がりました!
スーダンでHIVに関する教材を作って保健指導をしていると伺いました。
スーダンでは視覚障害児の教育支援を行っているNGOもあるので、こことコラボして、HIVのアクセシブルな教材を作っては?と、ちょっと強く提言しました。
実現に向けて、私も出来ることがないか考えてみたいと思います。
長年に亘り会を支えてきた人たちの話の中に、人情を人道に、ということが何度か出てきました。
人情とは、自分の家族や友人や、関係する人たちへの思いであるのに対し、人道は自分と直接関係ない人たちへの思いである、と。
人道の敵の1つが、想像力の欠如だ、とも。
自分と直接関係ない人たちへの支援となると、多分、益々「想像力」が必要になるという気がしました。
関係者の1人が、会に関わるようになったきっかけを話しておられました。
ベトナム戦争の後、所謂「ボート・ピープル」という形でインドシナ難民が日本に来ていたのですが、その中に、漂流するボートの上で出産したお母さんと赤ちゃんがいたと聞き、その方が母子の苦境を想像して物資を運んだのがきっかけだそうです。
まさに、自分と関係ない人の困難に対する想像力、です。
初心、忘れるべからず・・・
5月にバンコクで開催された第12回マッサージセミナーの記録が、セミナーのサイトにアップされました。
宜しければ、是非訪問して下さい。
凄いのは、MP3で、音声で聞くことも出来るのです!
英語とタイ語の通訳体制なので、残念ながらちょっと時間が掛かるのですが・・・
また、ステージと、タイ語の通訳の2つなので、全てに英語があるわけでもないのですが・・・
文字ではなく、音声で、会場の雰囲気を聞いて頂くことが出来ます。
私の開会挨拶も、恥ずかしながら、入っていました。
"Audio Files (from Stage)"の最初にある、140505_003に入っています。
75分のファイルで50分分くらい行ったところなので、聞いて頂くのは大変です、だから聞かなくていいです。笑
これを聞いて、自分も行ってみたいという方!!
2016年はフィリピンです。
一緒に行きませんか?
以下、URLです。
http://www.wbuapseminar2014.org/node/42
アルゼンチンが進めている、スペイン語を話す視覚障害者向けデジタル図書館のプロジェクトがこの程、FRIDAという団体から表彰されました。しかも、最高得票数で!
FRIDAは、ラテンアメリカ・カリブ諸国地域のデジタルイノベーション基金とでも言いましょうか、この地域でのデジタル社会推進に貢献した活動や団体を称するものです。基金は、ラテンアメリカでのURL登録をコーディネートしているLACNICという団体の活動で、資金は、国際開発研究センター(IDRC)、インターネットソサエティ(ISOC)、スウェーデン政府の開発期間であるSIDAから拠出されています。
いやいや、こういう話になると、略称が多くて分かり難いですね。特に、中南米の場合、元の言語がスペイン語ですから、英語が分かっても役に立たないことが多いのです。
で、受賞プロジェクトは、次の通り。
・機器やインフラ、技術部門:情報通信技術の応用拡大に向けてコスタリカ政府による、健康記録のデジタル技術による統一プロジェクトhttp://programafrida.net/projects/projects/view/428 <http://programafrida.net/projects/projects/view/428>
・持続可能な人間開発に向けた技術やコンテンツ作成ブラジル政府による、低所得者向けデジタルTVを活用した行政サービスと情報提供http://programafrida.net/projects/projects/view/466 <http://programafrida.net/projects/projects/view/466>
・社会のインクルージョン、声調、政治参加、市民活動ラテンアメリカ地域での民間団体による、Linguooというプロジェクトhttp://programafrida.net/projects/projects/view/413 <http://programafrida.net/projects/projects/view/413>
・人権と自由のためのインターネットウルグアイの学術団体によるFlor de Ceiboというプロジェクトhttp://programafrida.net/projects/projects/view/426 <http://programafrida.net/projects/projects/view/426>
・クリエイティブな活動アルゼンチンの市民団体による、視覚障害者が知り合い情報共有できるデジタル図書館http://programafrida.net/projects/projects/view/440 <http://programafrida.net/projects/projects/view/440>
この他、学術団体によるオープンな教科書のプロジェクト、メキシコの「みんなのインターネット」、ベネズエラの「遠隔地の電話支援センター」なども、佳作扱いになりました。
以上のように、視覚障害者を直接に受益者とするのは、アルゼンチンのデジタル図書館だけですが、どれを取ってみても、何となく、いずれは視覚障害者に関係して来るような内容ばかりだと思いませんか?
表彰の他に、賞金もあって、アルゼンチンのプロジェクトにも、追加で6千ドルが提供されます。また、7月16日~18日まで、エルサルバドルのサンサルバドルで開催されるラテンアメリカのインターネットガバナンスフォーラム(LACIGF)と、9月2日~5日にトルコのイスタンブールで開催される同じ名前のフォーラムに招待だそうです。
エルサルバドルでネットのガバナンスに関する国際フォーラムが開催される時代なのですねぇ・・・
このアルゼンチンのプロジェクトには、勿論、視覚障害当事者が関わっていて、WBUのマラケシュ条約実現キャンペーンにも参加しています。
昨年の後半、障害のある人と災害に関するオンライン調査を実施した、国連国際防災戦略事務所(UNISDR)は、来年3月、仙台で会議を開き、2015年に終了する防災に向けた国際的な枠組みである「兵庫行動枠組み」の新しいヴァージョンを採択します。
この新たな枠組みをインクルーシブにしようと、障害分野が動いている訳です。
このUNISDRが今年から、太平洋諸国で展開されている、災害に強い社会に向けたイノベーション・リーダーシップを表彰するようになりました。
表彰の枠組みの略称は、PILARと言います。
そして、栄えある第1回の表彰3団体の1つが、WBUAPの太平洋オセアニア地区委員会も加盟している、太平洋障害フォーラム(PDF)に決まりました。
後の2つは、カリタス・オーストラリアと、南太平洋財団。
6月2日から4日まで、フィジーのスバで開催された、減災に向けた太平洋諸国プラットフォームで授与式がありました。
PDFの常務理事で、4月の仙台での会議でもご一緒した、フィジーのセタさんのコメントです。
「この受賞は、災害時に於ける障害のある人の権利実現に向けた自分たちのアドボカシーと繋がるもので、大変嬉しく思います。
各国で様々な障壁に直面している障害のある人たちが、災害時のインクルーシブな対応の為たゆまぬ努力を重ねてきた結果だと思います。」
そう、減災をインクルーシブにする動きがある今の段階での受賞は、とてもタイムリーです。
PDFはここ数年、障害インクルーシブな減災(DIDRR)に熱心に取り組んできました。
インクルーシブな減災は必須であること、障害のある人こそ障害のある人の対応に就いて発言を求められるべきであることを、社会に訴え続けています。
減災計画には、当初から、障害のある人たちが関与し、障害のある人たちのニーズを反映させた、本当にインクルーシブな対策にしなければならないという、明確なメッセージを発信し続けたのです。
このアドボカシーが功を奏し、フィジー、キリバス、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、トンガで、DIDRRに向けたプロジェクトが起動。
ツール集を作ったり、各国政府の防災事務所とパートナーシップを組んだりしています。
フィジーやPDFでの活動は、ドイツやオーストラリア政府のODAが財源となっています。
さて、自他共に認める災害大国、日本は、どのようにして海外の障害のある仲間の減災を応援できるのでしょうか。