点字タイプライターの名称で有名なパーキンス盲学校。
この盲学校のプログラムと、イギリスを基点に途上国の視覚障害者支援活動を展開する「サイトセイバーズ」というNGOが協働で、1991年、Institutional Development Program(IDP)という枠組みを作りました。
http://www.perkins.org/idp/
このInstitutionalという言葉の訳がちょっと難しいのですが、団体とか協会という意味に使われていて、WBUや、アフリカの地域協議会であるAFUBを通じ、視覚障害当事者団体と支援団体の開発強化を目指すプログラムです。
IDPの運営は、パーキンス・インターナショナルの人を中心に、上でご紹介した「サイトセイバーズ」の幹部と、アフリカ現地で採用されたコンサルタントや研修担当のチームが担います。
採用されるのは全て視覚障害当事者です。
アフリカの当事者による、アフリカの当事者の能力開発といったところでしょうか。
IDPの目的は、団体強化により、各地での政策改善や視覚障害者の平等な社会参加のためにアドボカシーを推進することです。
個人に対してはエンパワーメントを、団体に対しては、研修や相談、メンター制度などにより支援サービスやアドボカシー力の向上を目指します。
もう少し具体的な活動は:
・国、地方レベルでのリーダーシップ開発
・団体の民主性・運営の透明性構築
・視覚障害者への支援サービス提供力強化
・支援サービス利用の手助け
・国や当事者の住む地域で権利を守るための個人・グループの能力開発
このIDPが先ごろ、南アフリカ盲人協議会(SANCB)と、Eco-Accessという南アフリカで障害のある人のキャンプや自然体験を支援するNGOとの協力の下、ヨハネスブルク近郊のキャンプ場で、初めての若手リーダーキャンプを実施しました。
若い人たちに、リーダーシップの様々な考え方を知ってもらい、自ら社会を変えていく役割に就いて新しい考え方を持ってもらおうというものです。
9カ国から20名の視覚障害者が参加。
それも、19歳から24歳という、本当に若い人たちなんです。
若い人たちは、リーダーシップの考え方を学び、積極的に社会活動に関わる機会が与えられれば、夫々の活躍の場で指導的立場に立つことができる・・・
というのが、主催者の考え方です。
キャンプで若者が更にモチベーションを挙げてくれることを期待したもの。
高いモチベーションをもった若者が、もっとアフリカから国際舞台に出てくるのを期待します。
10月4日と5日は、東京の日比谷公園で、グローバルフェスタが開催されていました。
http://www.gfjapan2014.jp/
2日間、別の人をご案内しつつ、NGOの方のお話を聞く中で、印象に残ったことがありました。
NGOで講師の方に聞いたお話だそうです。
アフリカの中でも貧しい国、マラウィは、余り大きな国でもないので、ご存じない方も結構おられるかも知れません。
アフリカの視覚障害リーダーに国際会議でお会いすると、大抵は教師を仕事としています。
マラウィも例外ではなく、視覚障害者の教師が一般の学校に大勢います。
というのは、教育の現場でも、基本的には、読み書きの文化ではなく、伝承の文化なのです。
ああ、それなら、記憶している大切なことを、口述していけば良いですし、後は生徒とのやり取りです。
視覚障害者は得意な世界でしょう。
代わりに、聴覚障害者には厳しいかも知れません。
だから、聴覚障害者の分離教育は、行われているようです。
地域で教育を支える意識がしっかりしていて、学校に子どもたちだけで通えないと、地域の父兄が面倒を見ます。
それも、親だけではなくて、近所の人も、親御さんが急がしいと分かると代わりに連れて行ってくれたりします。
教育の近代化のような波が、マラウィにも少し近づいている由。
となると、教科書があったり、ペーパーテストがあったり、書き取りがあったり・・・
まあ、そうでしょう。
さて、視覚障害者の教師たちは、どうなるのでしょうか?
これまでは、口述による教鞭で成り立っていた職業が、改めて視覚障害者への情報アクセスをきちんと確立しなければ、職域確保が難しくなってしまう。
そんな現実に直面しているようです。
普遍的な教育を導入しつつ、視覚障害者が職を失って路頭に迷わないようにしなければなりません。