日本に沢山、視覚障害のマッサージ師がいるように、欧米には沢山の視覚障害の法律家がいます。
訴訟が好きな(?)アメリカには、何百人単位で視覚障害の弁護士がいます。
日本で、視覚障害だからマッサージ師と決め付けないで欲しいという声を聞きます。
そう言えば私もそんな声を発していたかも?(;゜O゜)
同じように、米国では、視覚障害だから弁護士と決め付けないで欲しい、という声すらあるそうです。
欧州にも法律家は多いです。
権利条約に政策提言、と、法律の知識が必要になること、運動体には多いですよね。
私なんぞはただの語学オタクなので、中々厳しいです^_^;
ところが、ドイツや英国やオランダのように、視覚障害が法曹界に進出している国の近所なのに、オーストリアには視覚障害の判事がいないというのです。
で、最近、やっと、実験的に、組織面や技術面で何が必要か、調べてみようというプロジェクトが立ち上がりました。
オーストリアで法学を修め研修も受けた視覚障害者が、視覚障害を理由に判事になる門戸を閉ざされてきました。
最近、法曹界の雇用に関する法律も近代化しつつあったのにも関わらず、視覚障害の判事はうまれていません。
意外ですね。
オーストリア視覚障害者協会が他の障害者団体の応援を受けてロビー活動を展開。
今年になって、国会で全会一致で、視覚障害の判事を採用する際の必要条件調査のプロジェクトを始めることになりました。
まあ、調査を始めてくれるのは良いのですが、法曹界で活躍する視覚障害者は途上国でも見かけるのに、オーストリアが未だ判事の採用に至っていないのが驚きです。
今度、法曹界の視覚障害者を集めた会議をしたいという指導者の話を聞いたことがありますが、ぜひ実現して欲しいです。
何しろ、司法の判断に携わるのです。
司法が障害のある人を排除していて、社会に排除は良くないと訴えることになるのでしょうか?
何年か前、ニューヨークに行った時、
ビジョンという団体を訪問するチャンスがありました。
中途視覚障害者のリハビリや、就労に向けた訓練等、様々な支援サービスを行っていました。
地下にはスポーツの施設があって、ボーリングのレーンも2つくらいありました。
そして、上層階は全て、視覚障害者用の住宅だったのです。
家庭の1つにお邪魔したところ、広々としてダイニングがあり、質素ながら豊かな暮らしが出来そうな間取りでした。
デンマークにお邪魔した時に聞いた話では、デンマーク盲人協会も視覚障害者用の住宅があって、近々、財政対策の一環として、入居者に安価で売却も検討しているとのことでした。
その後どうしたでしょう。
そして、最近、スペインでも、社会の弱い立場の人たち向けに、住宅を安価で貸し出す制度が新たに導入される見込みです。
スペイン盲人協会は、他の障害者団体と協働でこの制度の関係者に働きかけ、住居を購入したり借用したりすることが経済的に困難な障害のある人たちも、この社会的弱者向けの住居を借りることができることになりました。
少し前にお話したように、南欧各国は経済危機のあおりをまともに受けています。
勿論、障害者手当や年金の制度も考慮しないと、本当の困難さからは程遠いのだと思います。
盲人協会が関わった障害者用住宅というのは、海外に出ていると、意外と耳にする制度です。
まずは雨風を凌がないといけませんから。
スペイン語の試みが成功裏に終わりますように…
アジア太平洋の会長になって初めて、中南米ブロックのメルマガ、「ラテンアメリカ」が来ました。
それとも、今まで定期的に出していなかっただけ?
残念ながら、私はスペイン語が殆ど出来ないので、英訳が出回るまで内容が分かりません。
少なくとも、ブログや日本盲人福祉委員会のニュースレターに公表できる形にすることができないのです。
スペイン語の出来る方、お力をお借りできませんでしょうか?
私たちWBUAPは今月、ミャンマーのヤンゴンで最初の役員会をします。
ラテンアメリカの指導者は、5月の22日〜24日、スペインのマドリッドで最初の役員会を開催します。
あれ、スペインはラテンアメリカ??
いえいえ、勿論、ヨーロッパです。
でも、スペインは、言葉が共通なので、これまでもずっと、ラテンアメリカの支援をしてきました。
教科書や図書を作ったり、雇用のモデルを提示するワークショップを開いたり、会議参加を財政的に支援したり・・・
ロンドンでも、ラテンアメリカの会長、ブラジルのボルミールさんの通訳は、スペイン盲人協会の女性が担当していました。
今回も、きっと、開催の支援をしているのだと思います。
今期の計画を立てるのが、会議の一番大切な議題です。
ラテンアメリカにも、科学技術の委員会と、定款を見直す(作る?)委員会があることが分かりました。
そして、ブラジル人のボルミールさん率いる地域ブロックらしく、メルマガはポルトガル語でも配信するようになったそうです。
ロンドンに行って良かったことの1つが、ボルミールさんと友だちになったことです。
WBUのネットワークがあるけれど、今までラテンアメリカ地域ブロックの活動の話、私個人の問題かも知れませんが、余り知る機会がありませんでした。
これからは、少しは情報交換できるようになると思います。
「ミ・チコ」ってスペイン語では「私のボーイフレンド」なんですってね(~_~;)
おかげで、一発で覚えられました(^o^)
イスラエル盲人センターは、お邪魔したことも、センターの方にお会いしたこともありませんが、とても印象に残っている団体です。
昨年、日本盲人福祉委員会で、各国の視覚障害関連団体の災害対策に関するアンケート調査を実施しました。
その時、このセンターから回答が来たのです。
彼らの危機管理は、センターの各フロアに爆発に強い部屋を作り、備蓄や緊急時の電話回線を確保するというもの。
私たちにとっての災害は、地震・台風・洪水・大雪などの自然災害ですが、イスラエル等の紛争地帯の人にとっては、障害の有無に関わらず、戦争でありテロであり爆弾なのだと、はたと気づかされたのでした。
そのセンターが、芸術やスポーツや学術で功績のあった視覚障害者19名を撮影した写真の展示会を行ったと、とても平和的な情報をいただきました。
テルアビブ芸術協会のギャラリーで開催された展示会の名前は、「マティ・デビッドソン写真展:境界無き視覚障害者」。
マティさんは写真家ですが、お友だちのアリエ・シュミットさんを記念した展示会だったそうです。
大学で講師をしながらIBMのイスラエル現地法人に勤務していたアリエさん、中途で失明した後も仕事を続け、視覚障害者の生活向上にも尽力し、マティさんが動かされたということです。
国中を2年掛けて回ったマティさん、他にも大勢の元気な視覚障害者に会ったと。
で、その人たちの写真を展示したということみたいです。
写真展を拝見していないので、具体的なストーリーを機会があれば拝読したいです。
その一方で、平和があってこそ、様々な意味で、こういう写真展が可能になるということなんだと思いました。
今年の7月、
国連経済社会理事会(ECOSOC)のハイレベル会議が開かれます。
WBUは、この国連機関に「諮問資格」を持っています。
以下、資格のある団体の一覧です。
http://csonet.org/content/documents/E2011INF4.pdf
「一般」という、NGOの中では特に貢献度が高いと見なされているグループに入っています。
昨年は雇用に就いて、一昨年はインクルーシブ教育に就いて意見を提出しているそうです。
WBUAPがよく関わっているアジア太平洋経済社会会議(ESCAP)は、このECOSOCの地域委員会なのですね^_^;
私たちは、世界レベルでも、地域レベルでも、国連の中で社会問題を扱っている機関への働きかけを行っているということです。
先週の金曜日、このECOSOCに向け、科学技術に関する意見書を提出しました。
以下、翻訳文です:
2013年4月5日
国連経済社会理事会:「持続可能な開発推進とミレニアム開発目標達成に向けた、科学・技術・刷新・文化の潜在力」に向けた、世界盲人連合の意見書
「科学・技術・刷新・文化が視覚障害者に意味するもの」
WBUは世界の2億8500万人の視覚障害者を代表する団体です。
視覚障害者が、エンパワーメントを通じ、人生のあらゆる場面で対等に参加できる社会を目指しています。
これまでの約30年間、視覚障害者の声を届け、団体と個人の力を付け、情報やリソースを共有し、アクセシビリティを推進することで、視覚障害者の生活向上を図ってきました。
国連その他の国際機関に視覚障害者のニーズや思いを届け、政策に反映させる努力も、そんな活動の一環です。
WBUは6つの地域ブロックに分かれ、世界の約190の国と地域の視覚障害当事者団体と支援団体の会員で構成されています。
WBUは国際障害同盟に創設当時から積極的に関わり、国連経済社会理事会、世界保健機関初め様々な国連関連等の国際機関で諮問資格を有しています。
国連経済社会理事会が、視覚障害者を含む障害者団体のような市民社会からの意見を受け入れていただけることに、心より感謝申し上げます。
世界の2億8500万人の視覚障害者を代表する団体として、WBUとしては、議論となっている内容を戦略的な領域として大変重視しております。
以下、視覚障害分野の問題意識を共有させていただければと存じます。
科学技術は視覚障害者の生活向上に重要な役割を果たします。
科学技術の進歩は、社会のあらゆる場面で、視覚障害者のエンパワーメント、インクルージョン、全体としての発展に寄与する潜在力を秘めています。
科学技術の進歩で、視覚障害者の雇用可能性や収入を得る機会が増大しました。
雇用自体も増加し、経済格差も劇的に縮小しました。
科学技術の進歩で視覚障害者の生活が向上した重要な例は幾つもあります。
支援機器と支援技術、歩行関連機器、弱視用の補助機器、点字ディスプレイや拡大文字、スクリーンリーダー等の音声関連アプリケーションソフト、DAISY、携帯電話、種々メディアの再生機器は、ほんの一例に過ぎません。
科学技術の進歩により、市場には毎日、沢山の新しい製品が投入されますが、過半数の新製品は視覚障害者には利用できず、ユニバーサルデザインの基準を満たしていません。
視覚障害者はしばしば、本体価格よりも遥かに巨額を投じて利用することになります。
どうしても利用できない製品もあります。
科学技術の進歩で視覚障害者の生活が大きく向上した反面、こうした進歩で、追加のコスト無しに製品を利用できるようにするための「アクセシビリティ」や「ユニバーサルデザイン」という新たな問題が浮上してきました。
DAISYコンソーシアムが途上国で行った調査によると、アクセシビリティと経済的理由から、支援技術や支援機器が利用できる視覚障害者は5%にも満たないそうです。
つまり、視覚障害者の95%は、科学技術の恩恵に預かって生活を向上するに至っていないということです。
この95%の視覚障害者が支援技術や支援機器を利用できないため、教育・最新情報・生計活動・政治等の意思決定に参加で来ていないのです。
”World Report on Disability”にも書かれているように、視覚障害者は、社会から取り残されたあらゆる人たちの中でも、特に教育・保健・経済活動で達成率が低いグループに属しています。
もし、進歩した科学技術がアクセシブルで、経済的に手が届き、ユニバー去るデザインの基準に合致していれば、科学技術の進歩で視覚障害者の教育・保健・経済活動に貢献することとなるでしょう。
昨今の技術では、製品の企画段階でアクセシビリティの要件を含められるようになってきていますので、(後から)面倒な装置を付ける必要がなくなります。
この要件を常時目標とするべきなのです。
上記のような科学技術へのアクセスに関する現実を鑑み、また国連障害者の権利条約の要請を受け、次のような提言を致します。
1.権利条約第9条1項A、第9条2項F及びG、第21条C項及びD項に従い、政府公共機関・民間団体、市民団体のサイトを、“WCAG 2.0”のウェブ・コンテンツ基準を遵守するものとし、視覚障害者が完全にアクセスできるようにする。
2.権利条約第9条1項Aに従い、交通に関する科学技術の発展に際しては、点字や拡大文字の表示、色のコントラストや音声信号等、視覚障害者のアクセスや課題を考慮する。
3.権利条約第9条2項Bに従い、科学技術の進歩による製品は全て、視覚障害者が利用できるものとし、生産者の状況に関わらず、ユニバーサルデザインの基準に合致させる。
4.権利条約第9条2項Hに従い、視覚障害者が最低限の費用負担で技術やシステムが利用できるよう、ステークホルダーは初期段階からアクセシブルな情報通信技術の立案・開発・生産・普及に努める。
5.権利条約第32条に従い、国際協力により途上国との大がかりな技術革新の共有化を図り、視覚障害者が先端技術を経済的にも利用できるようにする。
6.各国は、視覚障害者に有益な支援技術や支援機器の輸出入に掛かる関税を撤廃する。
7.視覚障害者のアクセシビリティやユニバーサルデザインを推進する製品の民間生産者を始めとするステークホルダーは、途上国の視覚障害者が経済的にも製品が利用できるよう、コスト削減に努める。
8.民間や市民団体等は、テレビや劇場での映画、デジタルテレビ等に先端技術を応用し、視覚障害者が娯楽・レジャー・芸術・文化に平等にアクセスできるよう務める。
テレビ番組や映画等のコンテンツ制作の際には、音声解説放送、拡大文字によるキャプション、デジタル点字データを組み込む。
9.博物館・文化施設・観光施設では、先端技術の応用により、音声解説・拡大文字の表示・デジタル点字データを利用し、視覚障害者がプログラムを利用できるようにする。
10.大学その他の教育機関は、視覚障害者が利用できる先端技術の開発のために、支援技術やアクセシビリティの研究を推進する。