WBUのトロントの事務所で精力的に働いてきたCEO、ペニーさんが間もなく定年となり、次期CEOにはアルゼンチンのホセさんが就任することになりました。
ホセさんは現在、ドイツのNGOであるCBMの財政的な支援を受け、WBUの人権政策アドバイザーとして活躍しています。
国連の持続可能な開発目標(SDG’s)や、障碍者権利条約の実現に向け、各国の盲人協会のアドボカシースキルアップを支援しています。
12月にWBUAPで予定しているリーダー研修にも講師として参画いただき、国連関連の話を伝授してもらいます。
ホセさんは最近女の子のパパになったばかりです。
実は、WBUAPのリーダー研修に就いてSkypeで会議をした直後、夫人が病院に行き、翌日に女の子が産まれたとかで、私たちの会議が何か影響したかしら?
子どもの頃に徐々に視力を失いましたが、小学校1年生だけ盲学校で点字やその他の勉強に必要なスキルを身に着け、2年生以降は一般校で学びました。
高校でカナダ、大学で英国、大学院でイタリアと、何度も留学する経験に恵まれ、国際関係を大学で教える傍ら、地元の障碍者協議会から障害分野の活動を始め、国連の障碍者権利委員会でのコメント作成にも徐々に関わるようになりました。
私がホセさんと初めて会ったのは、2012年のバンコクでのWBU総会です。
大会決議の案を作る作業部会でご一緒したのですが、国連関係で圧倒的な知識をお持ちでした。
経歴を聞いて納得です。
アルゼンチンはラ米でもかなり点字図書の数が多い方だと、マラケシュ条約がこの世に生まれた今となってはよく耳にします。
でも、まだ人口の30%は貧困ラインに生活しているそうです。
都市と農村の格差がとても大きいとか。
例えば、都市部の視覚障碍者であれば、最近ならホセさんのようにスキルを身に着けて一般校で学ぶ事例も多いのですが、地方では全く様相が異なります。
視覚障害児の家族やお金持ちが慈善事業で盲学校もどきを作りますが、所詮は政府が定める正規教育ではないので高卒の学歴になりません。
それでも、こうした盲学校があるので、地元の一般校に視覚障碍者が学ぶことができません。
アルゼンチンの国や地方自治体では、4%という雇用率が課せられています。
目標は高い数値なのですが実態は0.8%くらいとか。
しかも、障碍があると中々付加価値の高いタスクを担当させてもらえません。
ホセさんの知っている範囲でも、大学を出て弁護士同党の資格があっても、電話番の仕事をしている人がいるとか。
英語もスペイン語もフランス語も堪能なホセさん、WBUで活躍し、ラ米初め世界の地方で支援を待っている視覚障碍者に少しでもサポートが行き届くよう頑張ってください。