21日、念願の視覚障害分野の国際活動のネットワーク第1回企画が終了しました。
初めてスピーカーフォンをつなぎ、Skypeで大阪とつなぎ、レンタル会議室のWI-FIを
つなぎ…と、余りITに詳しくない者としては、少し頑張りました。
講師は、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでフィリピンの障碍者支援プロジェクト
を担当する石田さん。
ご本人も視覚障害当事者です。
今までこちらでは、日本国内の方はイニシャルだけの表記にしてきましたが、案内文
で石田さんを紹介しているのと、FTCJでも講演の報告を公表すると伺っているので、
例外的に「石田さん」と記載しています。
7月に入ってバタバタと案内を始めている準備の悪さでしたが、東京と大阪に20名
くらい、今まで余り接点が無かった人たちも含めてお集まりいただきました。
まずは石田さんの講義。
・ご本人のバックグラウンド
・フィリピン・英国での留学体験
・プロジェクトを始めたいきさつ
・現状とご苦労など
フィリピンに就いては、他の途上国でもよくあるように、周囲が障害のある子どもに
期待せず、教育を受けても意味が無いと結論付けてしまうこと、それでも都市部は多
少の環境があるが地方部では外に出てこない障害児が大多数なこと、学校に行っても
確り学科教育を収める障害児は本当に僅かなこと、などの現状をお話いただきまし
た。
個人的には、英国留学時のお話が印象的でした。
・インクルーシブ教育な分、当事者コミュニティにアクセスするのが難しいこと
・学校の職員が(職員も?)離職率が高く、中々スムーズに引継ぎが出来ていないこ
と
・我々の印象より遥かに、アクセシブルな教材の利用にハードルがあること。
など、日本の私たちもこれから色々考えていかないといけない問題提起をいただいた
時間でした。
参加者から質問やコメントも色々いただきました。
・教育支援とは:
教育支援は支援か押しつけか、という問題意識に直面。
解決として、選択肢があって教育を受けないのは自由だが、選択肢が無いから教育が
受けられないのは教育を受ける権利の否定ではないか、と。
その中に、障害が無ければある選択肢が、障害が故に無いのであれば、やはり障害を
理由とする差別ではないか、と個人的には一歩踏み込んで考えていました。
・支援側と現地で意向が異なる時は?
支援側の背景を説明して、それでも現地側の意向が変わらなければ、現地の意向に従
う、と。
オーナーシップの問題でしょうか。
ただ、資金が紐付きの場合、板挟みになってしまいますね。
開発援助の難しいところでもあり、醍醐味でもあるのかも知れません。
・就学後の問題
やはり卒業した後の仕事が問題ですよね。
フィリピンも視覚障碍者で一番多い職業はマッサージです。
一説には7千人はいるとか。
空港やショッピングモールで営業出来ていたりすれば相応の収入になりますが、自営
では中々大変でしょうね。
・視覚障碍者の留学
フィリピンと直接関係ありませんが、留学の機会や現地での生活の話になりました。
私は洋楽で英語を学んだので、洋楽が一日中流れている米国のラジオ局があれば、余
りホームシックにもなりませんでしたが、これは趣味の問題ですからね。
でも、昨今は様々な組織が、視覚障碍者に海外体験の機会を提供するようになってい
ます。
少し前の世代としては羨ましいのが正直なところですが、現役の皆さんには異文化・
世界の多様性を身をもって体験してきていただきたいと切望しています。
あっという間の2時間でした。
写真は東京会場のレンタル会議室です。
改めまして、情報満載のお話をいただいた石田さん、暑い中お集まりいただいた参加
者の皆さんに御礼申し上げます。