テドン盲学校は、3校ある北朝鮮の盲学校で一番大きい学校です。
ピョンヤンから車で30分ほどの所にあります。
1クラス5人の生徒が平均で、点字出版所が製作した教科書と、点字器を使って勉強していました。
点字タイプも一部あります。
生徒は10歳から18歳くらいだったとか。
寄宿舎は5人1部屋です。
朝鮮半島の床暖房、オンドルが設置された部屋にマットを敷いて就寝します。
生徒たちの食事の助けにと、校庭で野菜を栽培しています。
テリエさんが出かけて翌日は、北朝鮮の子どもたちの全国組織が出来た記念日で、政府から大きな箱にトマトが3箱届きました。
この辺りは如何にも北朝鮮ですか。
校庭では、生徒たちが、欧米の視覚障害者が行う卓球の一種、ショーダウンを楽しんでいました。
ショーダウンの機材は、ドイツのNGOからの寄贈です。
以下、校長先生とのミーティングで出てきた情報です。
-盲学校は3校ともに1959年に創立。
当初、北東部の師範大学で、点字も含めて視覚障害児の専門家が育成されていました。
けれども、現在ではこの課程はなくなってしまい、盲学校の先生はベテランの先生に点字を教わっている状態です。
-テドン盲学校の教育は、北朝鮮の視覚障害児教育の中では高く評価されています。
-在校生は41人で、年齢は8歳から21歳まで。
何歳でも入学は可能で、逆に、中途視覚障害者で何歳で入学しても、点字を勉強するために1年生から始めます。
晴眼者の時代に教育を全て修了していても、です。
但し、成績が良ければ、点字習得後、飛び級は可能です。
4割は弱視ですが、点字教育を非常に重視しており、点字学習は必修です。
-先生は全部で15名で、そのうち1人が寄宿舎の宿直を担当します。
全員点字の読み書きが出来ますが、視覚障害者の教師はいません。
-視覚障害児の家族が盲学校での教育に熱心ではありません。
理由の一つは、容易に帰宅できないこと。」
公共交通機関が無く、国内の長距離の移動が余り一般的ではありません。
また、移動には特別な許可が必要です。
子どもたちの親が休暇の際には迎えに来ることになります。
北朝鮮では就学は義務ですが、障害児に就いては余り徹底されていないようです。
-歩行訓練や調理実習は始まったばかりですが、生徒はどうも寄宿舎の外での活動には余り興味が無いようです。
音楽の教育にも力を入れたいようで、楽器が不足していると話していたそうです。
-これから日常生活訓練の導入を考えています。
経済制裁で孤立する中にあって、関係者なりの努力を積み重ねているのが分かります。
しかし、やはり経験不足・情報不足は否めません。
何とか国際的なネットワークに参加して、知見を広めていって欲しいと思います。