国連ESCAPの秋山愛子さんが帰国中で、13日、「障害者の権利条約の実施過程に関する研究会」が主催し、日本障害フォーラム(JDF)が共催した研究会で講演されました。
まず、3回目を迎えたアジア太平洋障害者の10年の背景に就いて。
この地域レベルの「10年」というキャンペーンの考え方は、アジア太平洋生まれなんですね。
国連レベルの「10年」が看板倒れに終わったと言われ、出直しみたいに地域で進め、それなりに成果を生みつつ課題も残し、今回の第3次10年になっているイメージかと。
インチョン戦略の推進と今期の課題も語られました。
何しろインチョン戦略は、権利条約実現を加速する為のツールですからねぇ。
新たな10年の大きな課題は、秋山さんによると、データと権利の実質保障です。
加盟各国に2017年までに、インチョン戦略の指標に基づいた障害者のデータの提出を求めていることから、データの問題がまず大きく採り上げられました。
各国の障害者の定義が様々で、人口に占める比率も、例えばラオスは1%なのにオーストラリアは18%と発表しているそうです。
施策のために実態に近いデータが必要と力説していました。
それに対し、データ収集は過去にも何度も呼びかけられているので、インチョン戦略はもっと権利条約実現に直接結びつくものではないのかという声が挙がっていました。
もう一つの課題は、権利の実質保障では、国連の経済社会理事会5地域で、ESCAP加盟国が権利条約の署名も批准も、他の地域より比率が低く、選択議定書に至っては際立って低い署名・批准率というのがはっきり提示されました。
2017年までのデータ提出を前に、今年の4月、データの有無に関するアンケートを実施したそうです。
韓国から、3年に1回の調査体制等、大変優秀な内容のフィードバックがあったようです。
戦略に自国の地名が入っているくらいですから、是非頑張って指導的立場を担って頂かないと。
また、韓国は、日中韓の障害施策の比較に着手したようです。
これは、東アジアで弱い「サブ・リージョン」の強化ですね。
秋山さんも、最近の特に東アジアでの外交関係に課題が多い今だからこそ、障害分野での連携が重要になると話していました。
その通りだと思います。
インチョン戦略は、確かに国際協力の項目もあり、日本では外務省がESCAPの窓口ですが、権利条約の実施・推進のためにも、先進国でもインチョン戦略の更なる普及・活用を奨励されておられました。
インチョン戦略をモニタリングする作業部会にWBU(主にWBUAP)が入ったこと、以前ご報告しました。
来年早々、インチョン戦略実施のロードマップをレビューする会議を、この作業部会で設けることになる模様です。
このロードマップでは、政府・地方自治体・民間企業・障害者団体等が夫々担うべき役割も明記される予定です。
この会議には、WBUAP乃至はABUから誰か出席する必要があります。
ということで、益々当事者意識を持って見なければならない、という訳です(^^ゞ