欧州経済危機が叫ばれて久しいです。
トンネルの出口は中々見えません。
視覚障害分野にも経済危機は陰を落としています。
昨年、欧州盲人連合で、経済危機の影響に関する会議が開かれ、そのまとめがつい最近、発表になりました。
少しご紹介します。
欧州経済危機で注目されてきたのは、ポルトガル・スペイン・イタリア・ギリシャの南欧諸国でしょう。
最近良くも悪くも話題の、ギリシャのすぐ近くのキプロスも、似たような状況にあるようです。
ギリシャ
厳しい状況は以前からあったようです。
視覚障害者に支給される年金や手当が大幅に削減されています。
雇用の状況もやはり厳しく、寄付も集まりません。
盲人協会は組織をスリム化して乗り切ろうとしています。
幸い、現政権では、障害分野でこれ以上の削減はしないと公言しているとか。
イタリア
2010年から既に、イタリア視覚障害者連合では大幅な財政カットを経験しています。
録音図書センターや点字図書館、調査研究リハビリセンターや法律に基づいた団体への助成など、徹底的に削減され、実質機能していないものもあるようです。
ギリシャもそうですが、国内の政治や経済運営が上手く機能しない時期が続いていたと、視覚障害者連合は見ています。
更に削減策が打ち出されるので、障害者団体が激しく抵抗しています。
今のところ年金や手当は維持していますが、高い失業率と新たな雇用分野への施策が難しく、会員の指導部への猜疑心も強くなってきているとまで語っています。
ポルトガル
ポルトガルは2011年より、トロイカと呼ばれる、IMF、欧州議会、欧州中銀の協調融資資金を受け入れています。
実はポルトガルには障害者手当が無いらしく、「減額しようがない」と。
職場用の補助機器は75%削減。
厚生省の支出で行うサービスは休止しているものも。
2010年以来、公務員の採用はストップ。
民間企業への雇用率の制度も見直しが迫られています。
寄付も大幅に減少し、盲人協会のリハビリサービスも66%削減です。
スペイン
スペイン全体の状況も厳しく、EUその他の救済策で危機を打開できるか疑問です。
スペイン盲人協会は、宝くじを発行する権利を持っていることから、財政的にもとても強力な団体ですが、それでも危機打開策として新たな宝くじ導入もあり得るとか。
キプロス
ギリシャの財政危機のあおりを受ける立場のキプロス。
失業率は上昇中。
公共機関でも、新規採用が3年間凍結されています。
それでは障害のある人も就職が容易でないでしょう。
EU頼み、です。
最近拍車が掛かっている金融危機が、とても心配です。